036_個性

前回、名探偵ポワロ(アガサ・クリスティ原作・イギリス)とシャーロック・ホームズの冒険(アーサー・コナン・ドイル原作・イギリス)のことを書いたけど、これについて、ちょびっと感想を書きたい。

名探偵ポワロは、デヴィッド・スーシェさんが、おしゃれで、お茶目で、かわいいポワロを演じられていたので、そのイメージで述べたい。

ポワロは、話の内容が、やや細かすぎるというか、小細工に走るというか、そんな嫌いがあるように感じた。

唐突に話が展開することもあった。

アガサ・クリスティさんが、女性ということもあるのか、やや、推理の展開が細々しているように感じられた。

あと、これは余談だが、アガサ・クリスティさんは、共産主義がお嫌いなようでしたね。

確か、レギュラーではない作品の登場人物に「コミュニストが」云々と、いかにも、いまいましく、嫌な人間の代名詞のように言わせていた場面がいくつかあったから。

今となってみれば、右も左も、同じだということがわかる(これは SM さんのおかげだな)んだけど、やはり、時代の制約かな。

あと、これはあのドラマでの演出かもしれないけれど、ポワロが、いつもきれいに決めて事件を締めようとすると、必ずうまくいかないオチが用意されていて、何となくおかしかった。

作品名は忘れてしまったが、自転車の返却を巡って、「これが感謝ですか、ヘイスティングス、これが・・・」というせっかくきれいに事件を解決したのに、ポワロが気分を損ねる場面があって、ジャップ警部に、まだまだだよ、のように諭されて、「フン、なんだい、偉そうに」とチョコチョコと歩いて(ただし、かわいい微笑みをたたえているところがお茶目だった)終わる話があったり、また、別の話では、確かラジオ放送上か何かで、事件を見事に解決して満面の笑みだったポワロに、「あのフランス訛りの言葉を話す男は何だ」のようなクレームの電話が殺到(?)したようなオチがあったりと、ホームズとは違って、気高く、キザが決まるオチではなくて、何となく笑いを誘うようなオチがあったね(スズメバチの巣はちょっと切なく悲しい締めだったけど、ポワロの気品があり優しさにあふれた対処は素晴らしかった)。

シャーロック・ホームズの冒険の方は、これよりもややスケールが大きいというか、推理の展開が大きいように感じた。

推理展開も難しく、まだらの紐や赤毛連盟など、最後にならなければまったくわからず、話によっては、二度見ないと理解できない作品があった。

まだらの紐は、悲惨で迫力のある話だった。

理解も難しいことが多く、日本の推理小説とは、明らかに違った迫力があるように感じた。

また、ホームズの声を担当した露口茂さんや、モリアーティー教授を担当した南原宏治さんの吹き替えも、また絶品だった。

本当に素晴らしかった。

露口さんの吹き替えは、ホームズのややキザで(?)ダンディーな雰囲気を演じきるに相応しい見事な吹き替えだった。

ポワロを担当された熊倉一雄さんも、もちろんいいのだけれど、ちょっとお声のアクが強かったので、できればご本人(デヴィッド・スーシェさん)に声質が近い細川俊之さんのも聞きたかったんだけど・・・。

ポワロのパートナーのアーサー・ヘイスティングス大尉を担当された富山敬さんの、なめらかで柔らかな独特の聞きやすい声の音質はとても心地よかったですね。

演技のことや難しいことはわからなかっだけど、昔の俳優さんは、本当に凄かったなあ、と感じたことを覚えている。