前回 ( 077_話18(清潔感の確保) - おぶなより2 ) 、女医さんのドクハラについて、個人的な経験や他の患者さんから聞いた話を書いたが、あれはだいぶ前の話なので、彼女(女医さん)は今はもうあのような言動をしなくなっていることだろう(女性は危険から身を守ることにおいてはきわめて嗅覚が鋭く、敏感だからね)。
というのは、少し前から、医療関係者への暴言や暴力の禁止のポスターが病院で見られるようになったからだ。
ということは、もう患者の方も下手にばかり出ることはなくなり、不信感や不満があればハッキリ言うようになってきたのではないだろうか(それともモンスター患者が出るようになってきたのかな。よくわからないが。まあそうした経緯からあのようなポスターができたんだろうけど。調べたら患者の起こした傷害事件もあったみたいだし)。
ましてや、診療の内容の是非どころか、あの女医さんのような患者を著しく傷つける言葉を投げつけられたら、黙ってはいられない人が出てきたのではないか、と思われるのだ。
クレイマーのようなケースではなく、あのようなドクハラにはもう黙ってはいられない、と。
患者の立場は弱いと思う。
特別な地位や身分のある人なら、私をか診よ、となり、お医者さんの方も、診させて頂きます、となるのかもしれない。
しかし、大半はそうではないはずだ。
ましてや、唯物論全盛で、人間=肉体人間観に縛られているほとんどの現代人は、御身第一、自分の身体ほど大事なものはない。
そこに不調が生じて、自ら克服する術がない場合には、どうしたってお医者さんに頼らざるを得ない。
よって、大袈裟に言えば、お医者さんは患者にとって命綱だ。だから、どうしても自分を大事に診てもらいたくて、下手に出ざるを得ないケースが多くなるのではないだろうか。
つまり、患者の置かれている立場は、お医者さんに「診て頂く立場」だと思うのだ。
もちろん、そうしたこともすべて踏まえた上で、医師の研修をやっているのだろうが、やはり、暗黙の前提として、お医者さんと患者(さん)とでは、このような基本的な立場の違いがあると考えられるのですよ。
そうなると、大事な自分の身体を任せるお医者さんの気分を害することがないよう、どうしても気を遣うことになると思われるのです。
なぜならば、今診てもらっている先生に見放されたら、また、違うお医者さんに一から診てもらわなければならないし、新たなお医者さんが今のお医者さんよりさらによくなる保証はないからです。
セカンドオピニオンと言えば、もっともらしいですが、送り出す先生の方も、内心はあまり気分のよくないものがあるのではないでしょうか。
ある意味、そのお医者さんのプライドを傷つけることになると考えられるからです。
私はあるお医者さんに身内のことでこんなことを言われたことがあります(大体の記憶なので正確無比には思いだせないけど)。
他院に行きたければ、行ってもいいし、気持ちよく送り出してあげますよ。
もちろん、帰ってきても、気持ちよく診てあげます。
ただし、診断の内容は変わらないと思いますよ、と。
すごく優秀な先生だったから、人格的にもかなりの水準を保った言葉を選んで話したのかもしれないけれど、やはり、ひっかかりは残るのではないか、と思うのですよ。
まあ、患者さんの中には、わがままな患者さんや、迷惑をかけるような人もいたことは確かだけど、難しい問題ですね。
だから、健康が何よりとつくづく思いますよ。
お医者さんの実態はよくわからないな。
ただ、一般的には相当な勉学を積んだ人達で、かなりの高い自尊心(プライド)を持った人達ではないか、と思われる。
何となく、心に鎧を着ているな、という感じの人もちらほら見たから。
私が病院で見た人達は、年代を問わず、いかにも育ちが良さそうな(お金がある良家の子女出身といった感じ。すれた感じがしない)人達だった。
人のために尽くしたいという使命感からか、家系を継ぐためか、他に理由があるのかはわからないが、かなりの難関を突破したそれなりのエリート階層の人達なのだろう。
人の命を預かる訳でもあるし、学生時代もろくに遊ばないで、わき目もふらず勉学に勤(いそ)しんできた人達なのかもしれない。
大学も 6 年だし、専門医になるまでにはさらに同等の年数がかかるし、かなり大変そう。
その上、さらに人格者たれ、高潔たれ、というのはあまりにも厳し過ぎる要求になるのかもしれない。
私はある先生にちょっと変わった話を聞いたことがあるし、ちまたにある様々な医療関係のコミックエッセイなどを読むと、個性豊かな先生もいろいろいるみたいだけど・・・。
とにかく、現代医学には個人的な通院や入院の経験も含めていろいろ感じるところがあるのですが、深入りしたくないので、この話(医療関係の話)はここまでとします。