ユーチューブの動画で、 UHA味覚糖 さけるグミの CM を見た外人さんのリアクション動画を見た。
この CM は、かなりあっち系に振り切った暗喩に富んだ、完成度が非常に高い作品で、とてもおかしかった。
数年前の作品だけど、テレビをほとんど見ないから、今までまったく知らなかったな。
UHA味覚糖 さけるグミの CM は、海外ではかなり話題になった人気の CM ということらしい。
ただ、外人さんは、みんなあっち系はお手のもの(?)で、すぐに意味を完全に理解できるものかとばかり思っていたが、そうでもなかったのが意外だった。
外人さんの中にも、バイク便受け取り時のやり取りの中で、ちーちゃんが口をあけていることの意味がわからない人がいた(後述のエマさんとキヨさんは確実にわかっていた)り、最後のクライマックスの場面の意味の理解に対する反応も、人によって時間にややズレがある。(*1)
最初から、こうした作品だと当たりがつけられれば、すぐにその後の流れが理解しやすくなるのだが、それができた人は、意外なことにそんなに多くはなかった。
暗喩をわからせるように、徐々に物語を盛り上げていきながら、段々読み取りに確信がもてるようになっていけるような演出なのかな。
まあ、本来はお菓子の CM だからね。
あそこまで、ドラマ性を盛り込んだ、凝った CM に仕上げてあるとは思わなかったな。
内容の読み取りが完璧だったのは、国際カップルの Yuki & Emma のエマさん(女性)と、これに次いで、ほぼ完璧だったのは BrooklynTokyo のキヨさん(男性)といったところかな。
他にもいくつかあったけど、とりあえずはこのお二人が完璧に近いかな。
ちーちゃんの窮地をしのぐための嘘の演技( CM 中では猿芝居と呼ばれている)の理解に加えて、後々のタクシー車内での、ちーちゃんの長い男の残像(それとも、妄想か幻覚かな)についてのエマさんの理解は瞬時。
実に理解が早い。
彼女は俊敏な理解力の持ち主で、頭脳明晰だな。
それに、エマさんもキヨさんも、相当に日本語が堪能みたい。
ただ、その人の生い立ちなのか、能力なのか、日本語の理解力の差なのか、微妙に理解力に違いがあるのが、興味深かった。(*2)
ユーチューブには、こうした動画の反応動画(?)というか、リアクション動画という分野があるみたいだな。
これもはじめて知った。
ただ、これらを見てもう一つ感じたことがあった。
それは、動画の表現力の豊かさだ。
この CM は、映像に込められている言外に込められたメッセージを読み取れないと、意味がわからない。
言い換えると、みなまな表現をしなくても、様々な暗喩の形で、メッセージをそれなりに伝えることができる。
あまり、あからさまにはしたくないものや、できないもので、ほのめかしをしたり、あるいは、阿吽の呼吸でメッセージを伝えたい場合には、特に動画はもってこいの手段になっているんだな。
百聞は一見に如かずではないが、写真やイラスト、ましてや動画ならさらに潤沢なメッセージを伝えることが可能だ。
上記の例のように、細かな点で、多少の読み取りの差異は出てくるが、間違いなく、かなりの情報を伝えることができると言えるだろう。
そのように考えてくると、やはり文字だけの平板な文章は、ちょっと厳しいかもしれないな。
あれだけの内容を伝えようとすれば、その内容をどんなに簡潔にまとめても、かなりの文章量になってしまうだろう。
ましてや、暗喩の部分の全体像を文章化するとなると、さらに、かなりの手間がかかるのではないだろうか。
しかも、動画と同様に、人によって読み取る能力もまちまちなので、メッセージが伝わり切らないおそれもある。
そう考えると、やはり、動画の表現力はかなりのものと言える。
そんなことを、改めて思い知らされた CM だった。
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(*1)ちーちゃんが口をあけている場面で、キヨさんが頭を抱え、首を左右に振りながら両手を広げ、抑えるような仕草で「おい兄弟、ダメだあ、ダメ、ダメ」という反応は可愛かったな。
(*2)エマさんとキヨさんとでは、最終的に物語のオチを理解したタイミングが微妙に違う。
エマさんは、長い男がちーちゃんを素通りする瞬間の直前にオチを完全に理解した。
かなり興奮していた感じ。
キヨさんは、その素通り後に、長い男がトオル君の面前に来た時にオチを完全に理解したように見えた。
物語のオチの完全な理解の時点に個人差があるのもまた、この CM の面白いところですね。