131_FRセダン

トヨタの新型クラウン。

どうやら駆動方式はすべて 4WD になるらしい。

この夏の日産のフーガとシーマの生産終了も含めると、純日本国内向け高級 FR セダンは、消滅してしまうみたいだ。

レクサスは全世界向けみたいだし。

マークXも生産終了しているし、残るは、スカイラインくらいかな。

でもスカイラインは高級的かもしれないけれど、何よりも走り志向みたいだし。

スカイラインは海外ではインフィニティブランドで展開されるから、やはり、世界に重きが置かれる(=従って、「全高だけ」は絶対に抑えるかもしくは低くした上で、縦横の外寸もさらに増え大型化される)可能性大ですね。

外国車も大型セダンは、純日本国内向け FR セダンほどではないにしろ、売れ行きはそんなにはふるってはいないようだ。

しかし、全世界向けでは、セダン、特に高級セダンの幅が、日本ではありすぎに思えるんですよね。

全幅が 180 cm 以上あると、駐車場を含めた日本の道路事情では、かなりきついんじゃないのかな。

取り回しや見切りも含めて。

ドアも、スライドドアではなく、ヒンジドアだから、乗降するためのドア形状も便利とは言い難い。

前席も、後席も、よっこいしょっと体を斜めにひねって(ねじって?)乗り込まなければならないからだ。

しかも、最近のスタイルのせいで、ドア形状がかなり鋭角的になっているために、余計に乗り降りが難しくなっているように感じるんですよ。

その鋭角的な形状のために、かなりドアを開かなければならないし。

というのも、四角い積み木か段ボール箱を重ねたスタイルの、しかも、本来必須であるはずの「あるべき全高」がきちんと確保されている(当然に室内高も確保されていることが必要。セダンの中には全高は多少は高めでも室内高が高くないものがある)タクシーのクラウンコンフォートは、ヒンジドアでも、一般のセダンよりもはるかに乗り降りが楽だから。(*1)

車内も外寸からは想像できないくらい、広々としている。

窓も四角くて大きいから、視界も素晴らしく良好。

とにかく、車内空間は快適そのもの。(*2)

私はあれに乗ると、包まれ感や安心感どうのこうのというご託宣が、まったく心に響いてこなくなる。(*3)

解放感のほうがはるかに勝ってしまうからだ。

それはともかく。

ヒンジドアは、トヨタシエンタの流れを汲むと思われるジャパンタクシーにあるような、開口部の広いスライドドアとは、乗降のしやすさは比較にならない。

残念ながら。

セダンから乗り換えで居住性を求めるとすれば、どうしても SUV にならざるを得ないんですかね(ただ、そのために外寸がかなり大きい。流面形の今流のスタイルを確保しつつ、居住性をそれなりに確保するためには、大型化は避けられないと解釈せざるを得ませんね)。

これも時代の流れなのかな。

新しい電動化を含めた FR セダンの可能性もまだかろうじて(?)残っているのかもしれないけれど、何か寂しい気もしますね。

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(*1)個人的には、あのクラウンコンフォートのスタイルは、力強くてカッコいいと思っている。

特に、キリリとそそり立っている太い C ピラーが他のセダンでは絶対に得られない、得もいわれぬ力強さと特別な気品を感じさせてカッコいい。(**1)

特に、斜め後ろから見た姿が最高。

まあ、あくまでも、個人的な感想にしか過ぎないのだけれど。

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(**1)タクシーには、日産のセドリックのセダンもある。後席居住性重視のためか、C ピラーはかなり太くなっている(多分クラウンコンフォートより太い)のだが、やはり前傾というか、寝ている傾斜は避けられないらしく、クラウンコンフォートの C ピラーほどには立っていない。

クラウンコンフォートよりも、明らかに全高が低いし、A ピラー、B ピラー、C ピラーともに絞り込みの傾斜が強い。

これに伴って、居住性、乗降性ともに、クラウンコンフォートよりも劣っている。

だから、現在走っているセダン(クラウンコンフォートもセドリックもすでに生産終了みたい)で、最もキリリとそそり立つ C ピラーを持つのはクラウンコンフォートだけだと思う。(***1)

おそらく、過去の国産セダンでも、唯一なんじゃないのかな(センチュリーやプレジデントのような超高級車(というか特別車)のことはよくわからないけれど)。

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(***1)かつてのトヨタには、走り志向のアルテッツァや、小型高級志向のプログレという FR セダンもあったけど、スタイルや全高の関係で、やはり、クラウンコンフォートには及ばない。

外国車にはなるが、スウェーデンボルボには、かつてカクカクの四角いスタイルの時代があったようだ。

ただし、やはりというか、クラウンコンフォートよりも全高が低い。

だから、クラウンコンフォートが一番のように思う。

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(*2)強いてクラウンコンフォートの改善してほしかった点をあげると、生産中の改善点として、もう少しホイールベースを長くしてもらいたかった。

ボディ形状から、見切りや取り回しもきわめて良好だと思われる(ミラーもフェンダーミラーだから視線の移動が少なくて運転がしやすそう)から、もうちょいホイールベースが長かったらなあ、と。

あの外寸ならば、ほんのちょっとホイールベースを伸ばしても、さほど取り回しが悪化するとは思えないからだ。

少なくとも、現代のセダンよりもはるかに取り回しが良いことは確実だからね。

(*3)ちょっと全高が上がっただけで、すぐに重心の高さをうるさく指摘したり、包まれ感や、スタイルを含めた空力ばかりにこだわってきたから、今のセダンの室内空間と乗降性の現状があるのだろうと思う。

例えば、プログレは、確かに内装の作り込みはいかにも高品質であるように感じられたし、車としてのモノの良さも無論感じられたのだが、残念ながら身長がやや高めの私には室内が狭く感じられた(プログレにはブレビスという兄弟車があり、数年前にブレビスをちょっと動かした時の感想)。

やはり、限られたスペースで、全高を削り、包まれ感を出すと、あのようになってしまうのも、致し方のないことのように思われた。