068_話09(度重なる病苦)

肝心の好きな子にまったく近づけないまま、残念な時間を過ごしてしまった高校時代だったが、他はそこそこだったかもしれない。

ただ、ある非モテについて書いている人がいうように、こうした時期に思い通りの恋愛ができたら、いかに幸せだっただろうか、といまだに想像することがある。

未練を完全に断ち切れていないんだな。

現実には、そんなに大したことない、こんなもんか、になったかもしれないけれど、いくら時間が経っても、こうした機会を逃したことが、やはり、悔いとして残るんだよね。

女性みたいに(?)、パッパッと更新、サッサッと乗り換え、みたいに現実的にはなれないんだよな。

なんか、グジグジしてしまって。

でも、こうしたものは、やはり、肉体の五感にまつわる欲望の執着の一種と考えられるから、業想念なんだろうな。

忘れるのは難しいから、なるべく記憶が薄れるように、つとめて世界平和の祈りをするしかなさそうだ。

カッコいい、か・・・。

言われて嬉しくないと言えばウソになるが、自分の希望が叶えられなくてはね。

やっぱり、それなりの実がないと、ちょっと空しい。

商売にできる人なら、いいんだろうが、到底そこまで届かない人間にとってはね。

私は両親に期せずして時間をおいて同じことを言われたことがある。

◯◯は、俳優さんまでにはいかないけれど、割合いいと思うよ、のようなこと。

バカだなあ。

そんなことは、言われなくても、本人が誰よりも一番よくわかっているさ。

そういう時は、もっと無理矢理ほめてあげるんだよ。

あなた方のかわいい息子が、不可抗力の病気で苦しんでいるんじゃないか。

慰めるにしても、バカ正直にこんな言い方をしないで、もっと過剰に、やり過ぎくらいにほめてあげるんだよ。

やっぱり、二人とも、生真面目で正直な人柄が出てしまっているんだな。

だから、良心のとがめがあって、ウソをつくことができない。

それに、残念ながら、こうした慰撫で、病気が治る訳でもない。

おまけに、しばらくあとにまったく別の不可抗力の病気があらわれてくる。

ああ、何てこった。

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・慰撫~いぶ~人の心を慰めて穏やかにすること。やさしくいたわること。
(用例)人民を慰撫する。