192_傍若無人な金髪碧眼

先日とある JR に乗った時のこと。

駅はたくさんの人がきちんと整列して到着する電車を待っていた。

ただ、小学生くらいの金髪碧眼の女の子を連れた外国人ママさん二人組が、ホームでかなり大きな声で終始べちゃくちゃとしゃべっていた。

見た目はヨーロッパの東欧系かロシア人のようだった(話している言葉が少なくとも英語とドイツ語ではなかったので)。

まわりにたくさんいた日本人はほとんど静かだったので、正直、「うっるせえなあ」と思ったが、それなりに整列しているし、電車に乗るまでの辛抱だと思って我慢していた。

しかし。

まず、電車に乗り込むと、優先席が空いたが誰も日本人は座らない。

もちろん、私も座らずに立っていた。

ところが、この女性二人は何と娘(特段具合が悪くもない元気そうな子供だった)を空いている優先席に座らせたのだ(彼女達は立っていたが)。

優先席以外は満席で、立っている人もかなりおり、満員ではないものの、大体、車内の 6 割方は人で埋まっているのに、なのだ。

何の本で読んだかは忘れたが、確かヨーロッパの親は子供に対しては、日本人によくあるように子供を座らせることとは異なり、立たせて体を鍛えるのが当たり前(?)のような話を読んだことがあったので、これは意外だった。

何だ、話が全然違うじゃねえかよ、と。

おまけにそのママさん達は、乗車しても相も変わらず大きな声でのべつまくなしに話をしている。

周囲の人を見渡してみたが、ほとんどが日本人で、スマホを操作したり、イヤホンをつけている人を含めて、みんな静かにしている。

この時は、ネットにある日本バンザイ(上げすぎ?)動画がまさにそのまま当てはまるような光景だったね。

それにしても、彼女達は周りの私達を見ても何も感じないほど超鈍感な人間なのか?

ユーチューブの動画では、来日して間もなくにもかかわらず、繁華街で自分達だけが大声で話して浮いていることに気づいて静かにするようにした人達の話があった。

一見の観光客さんでさえも、そういう人達がいるんだよ。

ただ、そのお二人は若い男性だったけどね(確かアメリカ人)。

同じ外国人さんでも、日本社会の土壌を尊重できる、こうした人達がちゃんといるんだよ。

それにひきかえ、あなた方(がた)は仮にも日本に来て暮らしている(旅行客には見えなかった。日本人のママさんと同じような出で立ち)のに、日本という郷に溶け込む努力をする意思は全然ないと言うのか?

私達日本人の醸し出す=作り上げてきた日本の風土なんか、眼中にないわ、知るもんですか、とでも言うつもりなのか?

彼女達が降りるまでは二駅ほどだったが、騒がず、話はじめなかった周囲の人々は、さすがは日本人だと思ったね。

よく我慢するよな。

日本という郷に入った金髪碧眼の外国人ママさん。

こうした静けさは、そこに居合わせるみんなが互いを思いやり、ある程度の我慢をしているからこそ保たれている尊い秩序なんだ。

それを平気で傷つけるようなことはやめてくれ。

信用を築き上げるのは大変だが、失うのは一瞬ということもあるんだよ。

電車内が公共の場となり、ここで保たれている静寂は、乗車しているみんなが努力を払っていることでようやく成立している尊い秩序なんだ。

そういうことが理解できないのが、金髪碧眼の外国人ママさんとしての当たり前の常識なのか?

電車内は、みんなが協力し合って、お互いがお互いのための場を作り出しているんだ。

だから、静寂はみんなの努力の賜物なんだよ。

あなた方のしていることは、こうした場にひびを入れ、壊そうとしていることなんだ。

大勢の人がいる電車内は、あなた方が傍若無人に振る舞っていい自分勝手な個室なんかじゃない。

韓非子の蟻の一穴として考えれば、あなた方は私達の尊い礼節を踏みにじり、ぶち壊そうとしている人間なのだ。

ここは日本なんだよ。

あなた方がどこの国の人なのかは知らないが、あの態度から察するに、あなた方の国の電車の車内はさぞかし汚れて、騒々しくて、不穏な空気が漂う、それが当たり前なのだろう。

あなた方の国が私達のこの礼節を身につけるまでには、おそらく数十年単位以上の歳月を要するだろう。

あるいは、それでも足りないかもしれない。

それだけ、私達の礼節で保たれている静寂は尊いものなのだ。

なぜならば、私達個人個人が強制されずとも、自然に身につけてきた礼節だからだ。

こうした私達が築き上げてきた尊い礼節を踏みにじる個人主義なんか、本当に人間を尊重するものなんかじゃない。

自由を履き違えた個人主義など、ただの放埒に過ぎない。

こういうのを霊性(霊格)が低いと言うんだ。

とにかく。

個人主義だか何だか知らないが、私達が努力で築き上げてきた尊い秩序をわが物顔で土足で踏みつけ、平気で傷つけるのはやめてくれ。

やめれ。

・・・。

とは言うものの。

彼女達がこの文章を読むこともあり得ない(日本語が話せない。従って読み書きはなおさらできないと思われる)から、やっぱり、世界平和の祈りをしておくしかないな。

たとえ、目に見えてすぐにわかる効果があろうとなかろうと、自らの想いを浄め、世の中の因縁因果を無限億万分の一でも改善するには、これしかないのだから。